『クリエイティブリユース―廃材と循環するモノ・コト・ヒト』

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著者 大月ヒロ子 中台澄之 田中浩也 山崎亮 伏見唯
発行 2013年8月30日
編集・装幀 富井雄太郎
判型・頁数 178×116mm・288頁
定価 本体2,000円+税
印刷・製本 図書印刷株式会社
ISBN 978-4-9905436-2-4

感想などのまとめ 2017/4/2更新

『クリエイティブリユース―廃材と循環するモノ・コト・ヒト』販売店リスト 2017/6/5更新
◆IDEA R LAB(日本初のクリエイティブリユースの拠点, 岡山県倉敷市玉島中央町3-4-5)
◆紀伊國屋書店
◆ジュンク堂書店
◆丸善&ジュンク堂書店
◆丸善(丸ノ内本店, 名古屋栄, 広島)
◆八重洲ブックセンター本店
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◆代官山 蔦屋書店
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◆BOOKSHOP TOTO(乃木坂)
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TSUTAYA online
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●「IDEA R LAB」ではワークショップなどの活動を随時行っています。オープン日やお問い合わせはこちらからどうぞ。

●2013年8月27日の『山陽新聞』に、日本初のクリエイティブリユースの拠点「IDEA R LAB」と本書を紹介する記事が掲載されました。

●「Maker Faire Tokyo 2013」のプレスリリースにて、全300組の中から「注目の出展者」として紹介いただきました。

●クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのWebサイトで、ライセンス活用事例として紹介されました。

●『新建築』2013年10月号の「月評」にて、建築家の藤原徹平さんと大月ヒロ子さんが対話をされています。クリエイティブリユースの話題から、既存の建築や環境を創造的に活かすことについて議論されています。

●『月刊廃棄物』2013年11月号で、「今月の1冊」として丁寧なレビューと共に紹介していただきました。

●図工や美術の先生が読む雑誌『美育文化』2013年11月号にて、新刊紹介としてご紹介いただきました。

●『ソトコト』2013年12月号にて、山崎亮さんに「コミュニティデザイン必読の10冊!」として、本書を推薦していただきました。

●2013年12月14日の『毎日新聞』関西版にて紹介されました。岡山県版でも同内容の記事が掲載されました。

●福岡のフリーペーパー『AFRO FUKUOKA』に、クリエイティブリユースを紹介する大月ヒロ子さんのインタビューが掲載されました。世界最大級のリユースイベント「リユース!ジャパンマーケット in 福岡 Presented by ヤフオク!」に関連した記事です。

●ヤフオク「リユース! ジャパン プロジェクト」にて、クリエイティブリユースを紹介する連載『モノの息吹』が始まっています。

●2014年1月20日〜2月9日、調布市文化会館たづくりにて展覧会「クリエイティブリユースでアート!-市内の端材や廃材をアートな目線で見直そう-」(主催:公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団)開催。

●2015年1月31日〜3月22日、調布市文化会館たづくりにて展覧会「クリエイティブリユースでアート!-市内の端材や廃材をアートな目線で見直そう-」(主催:公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団)開催。

●慶応義塾大学環境情報学部の2015年度入試「小論文」で、第1章の一部が採用されました。

●2015年10月25日放送のフジテレビ『新報道2001』で、ブック・ディレクターの幅允孝さんによって本書の内容が紹介されました。

●中野区立野方図書館の年間テーマ「まちづくり・環境・エコロジー」に沿った展示「もったいないは便利な言葉」にて本書が推薦されています。

●2016年1月30日〜2月28日、調布市文化会館たづくりにて展覧会「財団設立20周年記念事業 クリエイティブリユースでアート!-市内の端材や廃材をアートな目線で見直そう-」(主催:公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団)開催中。


創造と共に循環を
廃材・廃棄物に新しい価値を発見すること。既に身の回りにあるモノに工夫を加えて活用すること。自らの手でモノをつくる喜びや楽しさ。「クリエイティブリユース」とは、見捨てられているモノを観察し、想像力と創造力によって再び循環させることです。

【目次】
第1章 クリエイティブリユースとは何か
セーブする「エコ」から廃材の「クリエイティブリユース」へ。21世紀型のものづくりや東日本大震災以後の生き方にも引き寄せながら、クリエイティブリユースという考え方についてわかりやすく解説します。
全文公開しています

第2章 世界のクリエイティブリユース・ガイド
世界には大/小、公/私、営利/非営利を問わず、既にさまざまなクリエイティブリユースの活動や実践が存在しています。著者の大月氏はライフワークとして長年にわたりそれらの拠点や街を訪ね歩き、取材してきました。日本ではいまだほとんど知られていない約50カ所の事例を紹介します。
ボストンとロサンゼルスのチルドレンズミュージアム/大阪府立大型児童館ビッグバン/エマウス/沖縄こどもの国 ワンダーミュージアム/スラブ国際トイレ博物館/ロック・ガーデン/ラフィネス&トリステッセ/遊美工房 つくりっこ/泉の家/リバース・ガービッジ ・シドニーと M. A. D./リバース・ガービッジ・ブリスベン/クリエイティブリユース・センター・レミダ/シティ・ファーム・パース/レミダ クリエイティブ・リサイクリング・センター/スクラップ/リビルディング・センター/ノース・ポートランド・ツールライブラリー/ポートランド・チルドレンズミュージアム/パウエルズ・ブックス/メッカ/CCDIとAMTSファブラボ/ケープタウンのタウンシップ・クラフト/OIDEYOハウス/セッコ/グローブ・ホープ/ロンドンのチャリティショップ/トライド・リメイド/エコエイジ/体験子ども博物館/DMY 国際デザインフェスティバル・ベルリン/poRiff/KOSUGE1-16/イーストベイ・デポ・フォー・クリエイティブリユース/エコ・センターとリユース・ラボラトリー/スクラップ・サンフランシスコ/エコ・パーティ・メアリーと「美しい店」/ことばのかたち工房/スクールハウス・サプライーズ/マックメナミンズ・ケネディ・スクール/MFTA/TAE/トゥータ./かえっこ/尾道空家再生プロジェクト

第3章 実践編 「とびらプロジェクト」
東京都美術館と東京藝術大学が連携したアート・コミュニティ形成事業「とびらプロジェクト」では、上野界隈から廃材や資材を集め内外で活用するクリエイティブリユースの実践が始まっています。
その経過報告と共に、産業廃棄物の活用(ナカダイ)、新しいものづくり(ファブラボ)、縮退する地方に焦点を当てたコミュニティデザイン(studio-L)などの活動を行っている方々の公開講座を収録しています。

中台澄之(株式会社ナカダイ)
「使い方を創造し、捨て方をデザインすること」
リサイクルの現場から|中間処理業とは何か|意識してモノを観察する|使い方を創造し、捨て方をデザインする|ナカダイの挑戦

田中浩也(ファブラボ・ジャパン発起人/慶應義塾大学環境情報学部准教授)
「リペアデザインとデジタルファブリケーション」
ビットとアトムをつなぐもの|ファブラボの世界|分解して組み立て直すこと・修理すること|オープンデザインと地産地消のものづくり|既存の製品をハックして生活を豊かにする

山崎亮(studio-L/京都造形芸術大学空間演出デザイン学科学科長)
「リユースとコミュニティデザイン」
里山を利用し、使いながら公園をつくる―泉佐野|既にあるものをリユースし、利益を公益へ―家島|アートを通したコミュニティの形成―小豆島|空いた公共施設に新たなプログラムを―立川|中心市街地の空き家再利用―佐賀|商店街の営業店舗をリユース―観音寺|遠回りしない幸福論

とびらプロジェクト「廃材がつなぐコミュニティ」
東京都美術館 アート・コミュニケーションプログラム

第4章 実践編 「IDEA R LAB」
2013年夏、岡山県の玉島(倉敷市)に日本初のクリエイティブリユースの拠点「IDEA R LAB」が創設されました。江戸時代の蔵を残しながら、既存の木造家屋を改修し、工房や宿泊スペースなどがつくられました(設計:遠藤幹子)。その工事のプロセスや今後の活動などを紹介します。避けがたく縮退する日本の地方都市におけるあり方を示すひとつの事例となります。

コラム
建築史家・伏見唯氏による「裏倉敷・玉島 ― 裏面の街並みを読む」。伝統的建造物群保存地区の倉敷とそうではない玉島、ふたつの街を対比しながら、街並みの「質」とそれを生み出す「資」について考察。風景のクリエイティブリユースとは。

――――――

クリエイティブリユースとは何か

大月ヒロ子 (本書「第1章」より)

 ゴミには、廃棄してしまうには惜しい美しさやおもしろさを秘めたものがある。また、私たちの目に触れないまま、有償で処分されるゴミも沢山ある。もちろん安全に廃棄・焼却等が必要なものは定められたように扱わねばならないし、資源活用のためには原材料に戻すというコースを選ぶことも大切だ。しかし、ゴミの種類によっては、そこに至る手前で再度新しい命を吹き込み、生かす方法がある。何のために? どのように活用する? 誰が携わる? 再び流通させるには? そこには「クリエイティブリユース」という考え方が存在する。

 今、世界中で既に多彩な実践や試みがなされている。最もわかりやすい例のひとつは、「FREITAG」(フライターグ)というブランドだ。廃棄されるトラックの幌やシートベルト、自転車のインナーチューブを再利用してバッグや財布などをつくっている。この一九九三年にスイスで生まれたプロダクトの愛用者は世界中にいる。少々の汚れも個性として受け入れられており、同じモノがないという点も購買欲を刺激する要素となっている。

 筆者はこの約七年間、クリエイティブリユースの拠点を訪ね歩き、数々のプロジェクトを取材し、時に直接関わってきた。余剰なモノ、不要なモノと思われているゴミが、他に代えがたい価値を帯びたり、コミュニティをゆるやかにつなぐ潤滑油になったり、教育やアートを下支えしたり、人の暮らしを豊かにしていく材料として活用される事例を、日本を含む世界のあちこちに見てきた。そして、それらを一冊の本にまとめようという時に、東日本大震災とそれにともなう福島第一原発の事故があった。今、私たちの価値観は揺らぎ、生活や生き方を問い直さざるをえなくなっている。今後、どこに住まい、どのように働き、暮らしていけばいいのか、コミュニティの力とは何か、そんなことを考え続けている人は多いのではないだろうか。筆者もそのひとりであり、自らの実践も含め、本書を著そうと思うに至った。

 これまで「リサイクル」と呼ばれるものには、重要な意義はあってもデザイン的にいまひとつ垢抜けない、自己満足の成果物が多かったのも事実である。その言葉の持つぼんやりとしたネガティブイメージが、少なからず人の積極的な参加や創造性を抑えてしまっていたように思う。しかし、筆者が訪ね歩いてきたクリエイティブリユースの活動は、新しい時代を切り開いていく、ダイナミックで開放的な力に満ち溢れていたし、身の丈に合った生活を楽しみながら、手や体を動かす人々の姿があった。また、そこでつくり出されている生産物(モノ)や生まれている効果(コト)は実に多種多様で、個性豊かで味わい深いものがあり、感動を与えてくれた。アートとしか言いようのない作品や、ビジネスとして成立している質の高いモノまであり、それらと出会う度に心躍らされた。私自身も工夫しながら何かをつくりたい! と、じっとしていられない気持ちになったのである。

 加えて、それぞれのプロジェクトが生まれた街は、おしなべて環境に配慮された、居心地の良い場所であったことも強く印象に残っている。自転車利用率の高い「環境都市」であり、アートやデザインによって人々が生き生きとした「創造都市」なのである。街にとってそのふたつの要素は、明るい未来へ向かって進むための前輪と後輪なのではないだろうか。

 プロジェクトにはさまざまなバリエーションがある。アメリカのポートランドにある「スクラップ」(67頁)や、オーストラリアにある「リバース・ガービッジ・シドニー」(50頁)のような非営利組織による地元地域内での活動、ニューヨーク市の文化局が行うような公的な活動(137頁)、フィンランドの「グローブ・ホープ」(103頁)のような企業のビジネス、南アフリカの「タウンシップ・クラフト」(93頁)のようなアーティストやデザイナーが積極的に関わっているものなど、大規模なものからささやかなものまで揃っている。そして、そのどれが正解というわけではなく、それぞれが探り当てた独自の運営のかたちがベストであるのがおもしろいところなのだ。

 本書では、クリエイティブリユースによって、買っては使い捨てる消費一方ではないモノとヒトの関係を築くこと、コンパクトで心豊かな暮らしを自分たち自身の手で整えていくこと、ものづくりや教育の「循環」に多くの人々が間接的にでも関わっていくことで、街やコミュニティにどのような変化が起こるのかを考えていきたい。

――必要なモノと不必要なモノとの非効率なバランス

 現在、私たちの住んでいる日本には、モノが溢れている。まめに廃棄したりリサイクルショップやガレージセールに出したとしてもなかなか片付かないほどだ。しかし不思議なことに、何かものづくりをしたいと思った時に、手頃な素材は身の回りでは見つからない。私たちは、これだけモノが溢れている中で、肝心な創作のための素材は一から買い求めなければならないという、妙に非効率な環境で生活している。

 かつては何でも自分たちで工夫しながら、身近なところでモノをつくっていたから、端材や道具が家の中にもあったし、街の小さな製造業には活気があり、子どもたちはそこから出てくる余剰品を活用して遊ぶこともできた。しかし、身の回りからそんな製造業やちょっとした手作業が消え、私たちの生活は消費一辺倒になり、創造の喜びも、お金を支払ってキット化された商品と引き換えに得るようになった。端材や廃材と、商品として標準化された素材には大きな隔たりがある。ものづくりや子どもたちの教育、そして私たちの生活を支える素材が、一〇〇円均一の商品になりつつあるのは残念でしかたがない。「必要と不必要のバランス」が経済の仕組みの中で、徐々に壊れてしまったのではないだろうか。つくる技術も、つくる場も外へ外へと出払ってしまい、気付けば私たちが持っていた「手の知性」が失われていたというのが今の日本だ。工夫して自分自身でつくることが、安い商品を買うより高くつくと思い込んでいる人は多いが、長い目で見れば、それははなはだ怪しい。消費こそが経済を回す一番のエンジンだと信じて疑わなかった時代は終わった。大量生産・大量廃棄は環境を破壊するだけでなく、私たちの暮らしの中にあった文化も消し去ろうとしている。

 「豊かさとは何か」。訪ね歩いた先の人々から、はっきりとその答えを受け取ったように感じた。方向転換するなら、今が最後のチャンスだろう。

――なぜ廃材なのか

 市場に出ない不思議な廃材には創作意欲を大いにかきたてられる。それに、廃材は少量で種類が混在していると魅力が見えづらいが、色や種類別に分類すると、急に輝き出し、美しく見えてくる。また、欠けがあったり半端なモノは想像力を刺激する。子どもがかじりかけの食パンを何かに見立てて遊ぶのは、そこに想像をふくらませるフックが潜んでいるからなのだ。今、ミュージアムショップの売れ筋にリユース素材のプロダクトが台頭してきているのは、素材自体のおもしろさと、それを活かすヒトの感性の素晴らしさに多くの共感が得られているからだと思う。ヒトの想像力と創造力は対になって発達する。そして、そのふたつの「ソーゾーリョク」と、ものづくりの基礎体力は未来の社会を切り開く原動力になる。

 クリエイティブリユースには、廃材の調査→収集→分類・整理→開発→制作→流通・販売→啓発という大きな循環があり、そこに関わる人同士のコミュニケーションを活発にする。なぜならば、廃材の活用には子どもからお年寄り、そしてアーティストやデザイナー、社会的弱者、大学の研究室など、さまざまな立場の人が関われるからである。つまり、廃材は地域の連帯を強める触媒になりうる。

 また、そこでつくられるモノは、自分の楽しみのためだけではなく、一点モノのアート作品や、世界中で評価される質の高いプロダクトに生まれ変わる可能性もある。地域ビジネスのような「コト」として育っている事例もある。大きな循環によって地域が元気になり、社会的に恵まれない人々の立場が改善されることもあるのだ。持っている資源をローカルな範囲で大切にすること、廃棄ではなく創造的な再利用を考えること、工夫を楽しみながらつつましくも心豊かに生きること。それらがこれからの私たちの目指す方向なのではないか。

 本をまとめるにあたり、なぜクリエイティブリユースに心惹かれたのだろうと、改めてこれまでを振り返ってみた。遡れば、筆者の活動の中にも、生まれ育った街や家庭の中にも、きっかけとなりうる出来事が数多く存在した。それらを紐解きながら、章を進めるごとにクリエイティブリユースの魅力を深く掘り下げていきたいと思う。

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